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非がん疾患の緩和ケアと予後予測

非がん疾患の予後予測の困難さ

9月19日土曜日松山で「愛媛県認知症サミット」が開かれます。私も15分の枠で何か報告しなさいと宿題を与えられました。当院の看護師さんをはじめスタッフの協力をえて、開業5年間で在宅で看取った約100名の方々の死亡原因や在宅医療に導入されたいきさつなどをデータ化し、考察を加えて話をまとめようと考えています。
 
在宅医療を実践していていつも感じることは、がんの在宅医療ではその方の予後について、予後判定のための各種スケールがあり、また多くのエビデンスの蓄積から予後判定は比較的容易であり、本人・家族・医療者ともそれにそったケアを継続できます。
 
一方、非がん疾患、特に認知症の終末期や脳卒中で寝たきりの方で嚥下障害による繰り返す肺炎のため経管栄養を余儀なくされた方、重症COPDで在宅酸素療法中の方、また急性疾患の治療はなんとか乗り切ったが植物状態で在宅医療に移行された方などの予後判定は極めて困難です。これは非がん疾患では、一部の疾患を除き急性増悪があっても常に改善の可能性を秘めていること、腎不全に対して透析、呼吸不全に対しての人工呼吸器など、各疾患に延命治療が存在するため、終末期の判断は困難を極めます。このように終末期と急性増悪の区別が困難であることが在宅での看取りを困難にしています。
 
最近の米国の研究で末期認知症患者において家族が末期認知症の予後や合併症を理解している場合は、そうでない場合と比較して侵襲的な延命治療は3分の一にとどまることが示されています。
 
WHOは2002年に新たな緩和ケアの定義を発表しましたが、この中でもホスピス緩和ケアは、がんに限らず、「生命を脅かすあらゆる疾患による問題に直面している患者とその家族に対して」提供されるべきであると記載されています。

WHOの示す非がん疾患でのホスピス緩和ケアの実践のためには、予後予測は重要な役割を担っています。正確な予後予測が可能であれば、患者さんやそのご家族の自発的な意思決定がより容易になり、将来に備えることができるようになります。
 
昨日外来受診された60歳代男性とのやりとりです。多系統萎縮症で最近嚥下困難感があり食事中むせることが多くなり、また労作時に呼吸困難を感じているとのことでした。歩行も困難になり車椅子になっています。この方はコミュニケーションも十分可能で疾患のこともよく理解されています。神経難病なので、将来的にPEG-胃瘻造設についてや、人工呼吸器の話などをしました。
 
ご本人は、「家族ともよく相談済みで一切そのような処置はしないと決めています。」とキッパリおっしゃられました。加えて「私が寝たきりになって、ここに来られなくなったら、訪問診療していただき、症状緩和をお願いします。」とおっしゃられたことが印象的でした。



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