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在宅医療の質を高めるために必要な家族支援の在り方

最近経験した認知症に大腸癌を合併した一例


患者さんは、87歳女性。平成25年5月、転倒し左膝蓋骨骨折で手術を受けました。それまでもの忘れがありましたが、この外傷をきっかけに認知機能の低下が目立つようになりました。
平成25年7月24日当院初診。初診時、HDS−R:7/30,頭部CTで側脳室下角の拡大が著明で、アルツハイマー型認知症と診断し外来通院中でした。

平成26年秋ごろから不明熱が続くため、平成26年12月、当院で腹部CT検査を実施したところ、上行結腸に大腸癌と考えられる腫瘍を認めました。認知症が高度の為、ご家族とも何度も相談し積極的な治療はせず自然経過を看ることになりました。
平成27年9月の腹部CTで新たに肝転移が認められました。平成27年12月より全身状態不良となり癌の末期と判断されました。平成28年1月より訪問診療でかかわることになり、予後は約1か月と推定されました。

ご本人は認知症のため実際は疼痛があるにもかかわらず、適切に訴えることができず、寝たきりになっていましたが、オピオイド(フェントステープ1mg、途中2mgに増量)を開始したことで一時的に元気を取り戻し、トイレ歩行などが可能になりました。しかし、夜間の家族(主たる介護者が息子嫁)の看護がかえって大変となり、息子嫁への負荷が重くなり在宅ではもう看ることができないと相談がありました。

ご家族の負担も考慮し、市内U病院のO先生に入院をお願いしたところ、すぐには無理だが1週間後にはベッドを開け用意するとのことでした。このことで1週間後には病院へ入れるとの保証ができ、ご家族も入院まで何とか頑張ってみる決意をされました。

それから、5日後状態は急変。入院予約日を待たずに、1月19日早朝に自宅でお亡くなりになりました。結局、在宅での看取りになりました。結果論ではありますが、ご家族も在宅・自宅でお母様の終末を迎えることができてよかったように思えました。

この症例から、在宅療養を継続するとき、患者さん本位のマネージメントを考慮することが最優先ですが、看護・介護するご家族を支援することも重要です。介護保険制度を有効に利用し訪問看護は医療で計画しましたが、それでもご家族それぞれにご事情があります。本例では、いったんギブアップされかけていたご家族が、数日後には受け入れていただける医療機関があるとの保証ができたため、結局最後まで自宅で看ることが可能でした。

在宅医療を継続するとき、何か緊急事態が生じたときバックアップしていただける医療機関が存在していれば、ご本人・ご家族・在宅医が自信を持って在宅医療の質を上げることが可能と考えています。現在、八幡浜市では在宅がん緩和ケアのバックアップ病院がありません。近い将来には市立八幡浜総合病院がバックアップ病院(がん支援病院)になっていただけるとお聞きしています。そうなれば、在宅医療・在宅がん緩和ケアもますます充実したものに発展していくものと期待されます。

 

  
               撮影日
:H26.12.20 上行結腸癌
  撮
            影日
:H27.09.29 増大した上行結腸癌
  
             撮影日
:H27.09.29 癌の肝転移
 
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