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がん緩和ケアから非がん疾患緩和ケアへ

人生の最終段階における医療・ケア 

 

2012年(平成24年)に八幡浜在宅医療研究会が発足し、これまで14回の講演会を開催してきました。また、第50回までは「在宅がん緩和ケア症例検討会」、第51回からは名称を改め「在宅緩和ケア症例検討会」とし、毎月第1金曜日(午後7時〜8時30分)八幡浜医師会館に多くの専門職が集まり開催し、2018年(平成30年)9月現在で第53回を数えています。がん緩和ケアはもちろんですが、非がん疾患緩和ケアにも焦点を当てて症例提示し、多職種で検討し学習を積み重ね、現場でのより良い実践に結び付くことをめざしています。

 

 今年(2018年、平成30年)は厚生労働省から「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」(旧ガイドライン:「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」)が改訂されました。「最後まで本人の生き方(=人生)を尊重し、医療・ケアの提供について検討することが重要であることから、『終末期医療』から『人生の最終段階における医療』へ名称変更」など多くの改定が盛り込まれました。

 

 非がん疾患に目を向けると、高齢社会の進展や疾病構造の変化に伴う心不全は非がん疾患の代表格で、患者さんの爆発的な増加(心不全パンデミック)を背景に、近年心不全に対する緩和ケアの整備が喫緊の課題として取り扱われるようになりました。循環器専門医、プライマリ・ケア医(総合診療医、在宅医)、緩和ケア医の3領域の強力なチームの構築が望まれます。

 また、COPDに代表される呼吸不全も同様なことが言えるでしょう。脳血管障害で重度の嚥下障害をともなう寝たきりの患者さんも緩和ケアマインドで対応する必要があります。神経難病もしかりです。

 

 この原稿を書いている2018年(平成30年)9月26日現在、この9月に入って、しかも9月15日以後5人の患者さんを在宅で看取らせていただきました。2日に1人の看取りラッシュでした。多職種連携で関わり十分なACP(アドバンス・ケア・プランニング)を場面場面で実践した患者さんばかりです。特に訪問看護ステーションのスタッフの活躍には頭が下がります。1名は入退院を繰り返してきた末期心不全、1名は入院を断固として拒否した方でCOPDを背景にした肺炎からの重症呼吸不全、1名はペースメーカー植込みの既往のある末期肝臓がん、1名は多発性脳梗塞後遺症のため重度嚥下障害から誤嚥性肺炎で入退院を繰り返していた寝たきりの患者さん(終末期には奥様の希望で胃瘻造設などの経管栄養はせず、持続皮下点滴;500ml/日を約3か月継続)、1名は胃がんが発見されたときは多発性肝転移・肝不全状態で当院へ在宅緩和ケアを依頼された患者さんです。

 

 これまで、今年当院開院8年目(2018年(平成30年)9月26日現在)で164例在宅で看取っていますが、そのうちがん症例が60∼70%を占めています。最近ではこの9月の事例を見ても明らかなように、がん以外の疾患で看取りをする症例が増加している印象があります。このような意味でも、非がん疾患に焦点をあてた検討会も時代を反映させたものです。

 

 もう1点、緩和ケアを提供する医療者・メディカルスタッフがぜひとも知っておく必要があるのは、「臨床倫理の4分割表」です。これは患者さんの倫理課題を検討するためのツールとして以下に示す4つの枠に問題点を分け入れて構造的に問題点や方針を考えようとするものです。

 

医学的適応(Medical Indication)

患者の意向(Patient Preference)

QOL(Quality of Life)

周囲の状況(Contextual Features)

 

「臨床倫理の4分割表」についての詳細は専門書に譲りますが、私自身最初に学んだ書籍「新興医学出版社;第5版:臨床倫理学」がお勧めです。

   臨床倫理4分割表を使うことによって、担当した医療者が一人で考えこまず、しかも多職種で考えをシェアしながら、関係者が納得できるような方針をたてられる可能性が高まります。

 

 先ほども述べたACP実践の際、様々な段階で患者さん、患者さん家族が治療方針に対して意思決定、代理意思決定をする際、意思決定支援も医療者の重要な任務です。これから人生の最終段階に向けた話し合いを患者さん自身が行うようなことが増え、終末期の意思決定に変化が生まれてくる可能性もあると思います。医療者がどのように意思決定者・代理意思決定者の決断を支えていくのか、まだまだ考え続けなければならない課題です。

 

| 院長ブログ | 10:09 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |
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